BOGGYのイタリア料理と山と野草

イタリアファンのBOGGYが作って食べるイタメシのプログです。 登山、ピクニックのアウトドア・イタリアンはいかがでしょう。 革工芸も始めました。

カニソースのトースト

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毎年11月のカレンダーをめくると6日が気になる。
この日は私にとっての特別の記念日ではないが、あのセイコガニの解禁日なのだ。
雄の越前ガニ(ズワイガニ)は3月20頃までが漁期だが、メスのセイコガニは資源保護のために1月10日までと短い漁期になっている。

一匹数万円もする雄のカニと違って、サイズの小さいメスのカニは、食べにくいせいかメジャーのカニではないけれど、知る人ぞ知るで、このカニの方が味も濃厚で美味しいと、隠れたセイコガニのファンは多いのだ。


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ちなみに、たまにスーパーの魚売り場に並ぶ見た目は同じセイコがある。
しかしこっちはそのほとんどがロシアの漁船が取った北海のズワイガニのメスで、値段も安いが問題なのはその鮮度である。生だが一度冷凍して輸送してから解凍したシロモノである。
私がわざわざ福井県の敦賀漁港の問屋に出かけて行くのは、その朝水揚げされた茹でたての新鮮なセイコを手に入れたいがためなのだ。
セイコガニの下半身にはソトゴ(外子)と呼ばれる色の少し黒っぽい卵を抱き、殻の内側には真っ赤なウチコ(内子)が目一杯詰まっている。
これがセイコガニの美味しさの素で、雄のカニが逆立ちしてもまねの出来ない味なのだ。

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このセイコガニの存在を知ったのはもう二十年以上も前からで、毎月岐阜に仕事で来るようになってから、私の山菜と釣りの師匠のお宅で、このカニを毎年ご馳走になっていた。
この頃は茹でたカニをそのまま食べたのだが、それでもその味は毎年の楽しみだった。

6年前に岐阜に越して来て、自分専用の台所を得てからは、好きなイタリア料理を気兼ねなく作れる環境になっていたので、このセイコガニを使ってのイタリア料理を考えることになった。
元々、イタリア料理にも、カニのパスタは有って、この時に使うカニはワタリガニである。
これをカラ付きのまま数等分に断ち切り、オリーブオイルで炒めて、カニの香りを出してから、別に取り出したカニ身と一緒にトマトソースに和える。
淡白なワタリガニなので、濃厚な味ではないが、カニの香りのする上品なパスタになる。最初は私もセイコを使って、同じように作ってみたが、たしかに美味しいけれど、イマイチセイコの持ち味の濃厚なカニの味がトマトに邪魔をされているように感じた。
カニや海老はホワイトソースが合うのは常識なので、トマトソースよりも、ホワイトソースの良さを使ってみようと、ホワイトソースにしてみたが、作りかけのカニのグラタンのような感じでこれもイマイチ。
この実験から、トマトソースに生クリームを合わせ、これが交じり合ったオレンジ色のカニソースが一番セイコガニの美味しさを引き出すことが出来たと思う。
これは本場イタリアにも、日本のイタリアンレストランにもないオリジナルのソースになったが、以来これをカニのオレンジソースと名付け、我ながら大成功のソースと自負している。

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長年セイコガニをご馳走になってきた山菜と釣りの師匠のお宅で、長年のお礼にとこのソースでパスタ料理にして振舞ったところ、家族全員すっかり気に入って、以来毎年この家では、セイコガニのパスタも楽しむようになった。
これはなぜか伝染性があるのか、毎年このパスタを楽しみにする家庭が岐阜では増えてくるようだ。

この年に一度のセイコガニのパスタを楽しむことが出来て、これで今年も思い残すことなく年が越せると満足した。
このカニソースの鍋の底にちょっと余ったカニソースと鍋のふちにこびりついたものまで丁寧にこそぎ落として、小皿に少しカニソースが残った。

私の普段の朝食は、ニンニクのスライスをエキストラバージンのオリーブオイルに漬けて作るニンニク・オイルを、輪切りフランスパンにかけて焼くトーストとコーヒーなのだが、今朝はこのパンにこのオイルをかけて一度焼いてから、この上に残ったカニソースを乗せてもう一度焼いた。
カニの香りと濃厚なカニの味のトーストの出来上がりである。
こんな贅沢な朝食など、バチが当たりそうな気もしないでもないけれど、年の一度のビンボウ者のせめてもの贅沢である。


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