BOGGYのイタリア料理と山と野草

イタリアファンのBOGGYが作って食べるイタメシのプログです。 登山、ピクニックのアウトドア・イタリアンはいかがでしょう。 革工芸も始めました。

山上の新年会

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 岐阜に来て3回目のお正月を迎えた。今年はこれまでと違って、山の上で新年を迎えるというこれまで考えもしなかった正月になった。


もちろんこれは岐阜の山仲間のグループに出会い、仲間に入れて貰ったからこその事で、一人歩きの登山と、この仲間とのパーティ登山とは、同じ登山と言っても全く趣が異なる登山になる。
一人で登る山は、周囲の景色を見たり、野草や鳥の姿を探しながらのマイペースで山頂を目指す。
しかし、のんびりムードながら気持ちの何処かには、道順、時間、天候に気を遣って、あくまで一人登山の危険回避への注意は怠らない。
山頂での食事も、持参した簡単なおにぎりや弁当で、体を休めるに必要な時間を取るだけである。
たまたま山頂で人に会って、挨拶の声をかけて、それがきっかけで会話をすることもあるけれど、ほとんど丸一日無口で登って下って来ることも多い。
自然の中にひっそりと自分が溶け込んで行くような気分が味わえる登山になる。
昨年から始めた登山で、数えて見ると自分でも驚く21もの山に登ったが、その内、山の仲間との登山も6回もあって、これがまた賑やかで楽しい登山だった。
きわめつけは忘年登山の鍋倉山で、到底一人では登り切ることが出来ない深い雪を交代でラッセル(雪を踏んで道を作る)をして普段の二倍の時間をかけて登った。
私には初めての本格的な雪の山の体験で、雪の山には絶対一人では入らない、という基本のルールからも、パーティならではで出来る体験たった。
この忘年会は、様々な食べ物と飲み物が、狭い小屋を飛び交うという聞きしに勝る大宴会であった。

この山の仲間に入れたのは、私の趣味の一つのイタリア料理の効果が大きかった。
このグループは、勿論山を登るのも趣味だが、料理が趣味の人も多くて、腕自慢の面々が持ち寄る料理による、山頂の宴会が豪華で賑やかなのも特徴なのだそうだ。
そんな中でイタリア料理をする私は、土地柄か珍しさもあって、みなさんから歓迎されることになって、毎回の登山の度に、次はどんなイタリア料理が現れるかを楽しみにされるようになった。
イタリア料理の弟子入門希望者まで現れることになって、登山の道々で、イタリア語の料理の名前や材料の名前が飛び交い、次々に家で作ったイタリア料理の家族の反応結果の報告で掲示板が賑わい、本来「クーの山小屋」という名前の掲示板を、「喰うの山小屋」と呼び代えた人も居て、この掲示板がにわかにイタリア料理のブームになってしまったのだ。

この山の仲間の、ご来光を拝みがてらの新年会が、岐阜市の隣の各務ヶ原市にある権現山で開催されることになった。
三百メートルそこそこの低山だが、土地ではご来光を見るには人気の山だと言う。
私の乗用車はノーマルタイヤのままで、岐阜に来て以来、雪道や、道が凍る時は運転そのものを控えることにしているので、零度以下の寒い夜明け前の道などはこれに当てはまるので、仲間に迎えに来て貰ってこそ参加できることになる。

こんないきさつの新年会なので、「イタリアンおせち」のデビューなとど掲示板で予告をしたものだから、みんなも何が出てくるか興味津々、私もつい力が入ってしまうのだった。
もともとイタリアはカソリックの本山、クリスマスが年中行事の中心で、正月など眼中にない国なので、おせち料理の概念などかけらも無い。
あるはずの無いイタリアのおせち料理なとど、前口上をしてしまったことが、うかつではあったが、何かイタリア料理で、日本のおせち料理の片隅に居場所が作れるものが何か無いかと考えてみたい気持ちもあったのだ。

冷たいまま作り置きで食べる料理が基本の「おせち料理」なので、作りたてを食べるパスタの類は作りにくい。やはり、前菜やオードブル風の料理がおせち向きではと考えて見ることにした。
日本のおせちとアプローチに違いが出るように、三色のソース(ドレッシング)で食べる料理をテーマにした。
三色のソースとは、
1.マヨネーズに、同量のEXオリーブオイルを加え、洋ガラシを多めに、他に塩、コショウ、レモンの絞り汁をいれた、洋ガラシ風味の酸っぱいソース。
2.オリーブオイルに、大量のバジルの葉、松のみ、くるみ、ニンニク、パルミジャーノチーズ、塩、コショウの緑色のコクのあるジェノベーゼ・ソース。
3.私の特製のトマトソースに、少量のタバスコを入れた赤いピリ辛ソース。
これで、黄色、緑、赤の彩り鮮やかな三色のソースで、見栄えもなかなかになる。

さて、次はこのソースで食べる料理の工夫である。
1のソースの料理は、本来はサラダなのだが、殻のまま焼いて殻を剥いたエビと、直火に当てて、表面を真っ黒焦げに焼いて、表面のカワを剥いた赤、黄のパプリカを、切って交互に串に刺した焼き物。
これと、太めの白ネギを、薄く焦げ目を付けて焼いて、二センチの長さに切って楊子に刺したもの。
この二品、エビの赤白、パフリカの赤、黄、ネギの白、カラフルな料理になった。
2.の緑のソースの料理には、既に私の前菜料理で不動の地位にある、スモークサーモンのアスパラガス巻き。
紅いサーモンを巻いたアスパラガスを中に、両側に緑のアスパラガスを楊子で刺した。これは緑と赤に緑のソースの組み合わせとなった。

3の赤いピリ辛のソースの料理は、モンゴイカの四角の切り身とムール貝の剥き身を、溶き卵を付けて、コーンスターチにたっぷりの粉のパルミジャーノチーズを混ぜた粉を付けてカラリと揚げ、中に緑色の焼いた銀杏を挟んで楊子に刺した。こんがり色の揚げ物と緑の銀杏、これに赤いソースの取り合わせである。
全て、串や楊子に刺したのは、屋外で、皿など無しで、指でつまんで、ソースに漬けての立ち食いも出来るように配慮した。

料理をしていてテレビを見ていなかったが、外から聞こえていた除夜の鐘が聞こえなくなって新年を迎えたことが分かった。
各料理それぞれ30本、それにソースを全部作って、タッパーに入れて、ザックに詰めるとかなりの量と重さになった。これを三百メートル担ぎ上げるのだ。
時間を見ると、午前二時になっていた。
五時半には迎えが来るので、もう寝る時間もないし、コタツに潜って、横になって一休み。ウタタネしていたら直ぐに目覚ましが鳴った。

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 登山口に六時に着くとまだ暗く、三々五々、メンバーも集まって来るが、それだけでなく、土地の方々のご来光登山も多く、賑やかに登山道に、ヘッドランプや懐中電灯を手に、人が列になって登って行く。

この山の登山コースは幾つかあって、私たちが登るコースは山頂までの距離が近いかわりに急な階段が山頂まで続く。
尾根に出ると急に風が強くなって、結構寒いが、頭の先まで完全な防寒スタイルなので、それでも薄く汗をかく位に急な階段はきつかった。
四十分ほどガンバルと山頂の鳥居に着いた。ライトを消しても歩ける薄明かりの山頂には、四、五十人の人が、大きな焚き火の周りで賑わっていた。
歩く運動が止まると体が冷えて山頂の東屋は風通しが良すぎて寒い。
ザックの中からゴルフで使っていたカシミヤのセーターを出して重ね着をして、ついでにホカロンを一袋、背中に張った。

ほとんどメンバーが揃った頃合いと、数えて見ると二十三人も集まっていた。
また初めての対面になる人も居て、挨拶をしたけれど、端から聞いた名前を忘れるので困った。トシだなぁ・・・。

賑やかな会話で日の出を待つが、七時の日の出の時間を過ぎても、東には厚い雲があって、ご来光の気配も無い。
八時前の頃になって、ようやく薄い雲から、まぶしいお日様がちょっとだけ顔を出してくれて、ようやく、土地の方々が下山して行くと、我々のグループだけが残って、山頂の風の来ない広い場所に陣取って宴会の準備が始まった。
見る間に座る場所も無い位に、おせち料理や、お酒の類がシートの上に並べられた。
これに、これから作る雑煮やゼンザイが加わるのだ。
忘年会の時の鍋物中心の料理よりももっと豪華である。
みんなの歓声が上がってお酒やビールやワインで新年の乾杯だ。

「イタリアンおせち」を食べてみたくて参加しましたと言う人も居て、見る間にイタリアンおせちがさばけて行く。
やはりカラフルな所が人気で、「ワァキレイ」と喜んで貰えた。
さて、味の人気は、私としては予想していなかった、イカとムール貝のチーズ揚げが一番でとても好評だった。
三色のソースにしたいと、思いついて作った赤い、辛いトマトソースと、これも思い付きで初めて作って見た料理だったが、これほど気に入って貰えるとは思わなかった。一人参加していた小学生の子供も、これは美味しいと食べてくれたので、主婦業を思い出した人が、これお弁当のオカズに作りますと言って、聞いた作り方をメモしていた。
気に入って貰えて、前菜でも使えるし、メインの魚料理でも使えるメニューが一つ増えた。
余ったソース類は、誰かが持って行ってくれたので、帰りはとても軽くなったザックで楽な下山になった。
私にとっては初体験の楽しい新年会登山だった。

(写真左側タッパーの容器が、三色のソースと4種の料理です)

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