BOGGYのイタリア料理と山と野草

イタリアファンのBOGGYが作って食べるイタメシのプログです。 登山、ピクニックのアウトドア・イタリアンはいかがでしょう。 革工芸も始めました。

新年の料理事始め-結婚祝いのディナー

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タンシチュウ クリックで拡大


 私の親友には五人の息子さんがいて、その息子さん達が結婚する度に、フルコースのディナーで、その結婚を祝ってあげるしきたりになっていた。
今回はその第三組目の新婚さん、N君とNさんのお祝いのフルコース・ディナーが新春の5日に招待が決まっていて、これを二人はとても楽しみにしていたようだった。



N君は親友の五男として生まれた頃から知っていて、彼が中学生の頃には、私が作った各種のパスタソースを親友の家に届けると、彼がほとんど独り占めにして、自分でさっさとパスタを茹でて食べていたそうな。
勿論十数年、彼の家の暮れの三十日の餅搗き大会のビーフシチューも欠かさずに食べていたので、私の料理ファンの一人でもあった。

約束の午後6時丁度に二人が到着して、いよいよディナーの始まりだ。
今日のディナーは、イタリアン、フレンチ、スペイン料理の三軒のレストランをハシゴしないと食べられないメニューになってると、二人に前置きをした。
フルコースのメニューは、品数も多く、それだけミスもしやすいので、やはり本気で腰を入れて取り組まないといけないのだ。

とりあえずはスプマンテ(スパークリングワイン)で乾杯だ。
料理が出来るまで焼きパプリカのサラダを摘んでいて貰うことにして最初にサービスした。

焼きパプリカは、ガスコンロの直火で真っ黒に表面を焼いて、硬い皮を剥ぎ取る方法で、身には独特の甘みと香りが出る。

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焦げた黒い皮を丹念にスプーンやナイフでこそぎ取り、絶対水で洗って取ってはいけない。
折角の甘みと香りが流れてしまうのだ。

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白いのは生のモッツァレラ・チーズ


アンティパスト(前菜)は、まずイタリアンで、「帆立のグリル、イカスミソース」だ。

イカスミのソースも今では色々市販されいて、今回はガバンのイカスミソースを使った。

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買ったままではソースが滑らかなものではないので、一度フードプロセッサーにかけてからミソ漉しで漉して、イカスミの3分の1ほどの量の作りおきのトマトソースを加えて、再調理してイカスミソースを作る。
きめ細かく舌触りの良い、ソフトでコクのあるイカスミソースになる。

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高島屋の地下の食品売場で、解凍して店頭に並べる生食用の帆立貝を、冷凍のままで購入し、解凍しながらニンニクオイルと粗挽きの黒胡椒、塩で二時間ほどマリネする。
これを高温に熱したフライパンで、表面だけ焦げ目が付くほどにサッと炒めて、暖めた皿にイカスミソースを丸く敷いた上に載せる。
帆立の中はまだ生に近く、カツオのたたき風に表面だけに焼きを入れたお刺身を食べる日本人向きの調理方法で、このメニューは私のオリジナルになる。
イタリアには帆立貝はないようで、イカスミにはイカの組み合わせが多い。
二人ともイカスミは初体験で、珍しいイタリアの味を楽しんで貰えた。

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この料理には、必ず添えるのがバケットのガーリック・トーストで、皿のイカスミをこのトーストに載せたり、トーストで皿を拭ったりして、イカスミの味を楽しむ。

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プリモ・ピアット(第一の料理)は、セイコガニのパスタ。
セイコガニのパスタはN君の家で始めてデビューしたので、彼の大好物でもあって、Nちゃんにも食べて欲しいと思っていた料理の一つ。
これはブログで既に紹介しているので、詳細は省略。
始めての体験になるNちゃんは、濃厚なカニの香りと味にビックリしたようだつた。

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セコンド・ピアット(第二の料理)は、フレンチに変わり、タン・シチューでカルネ(肉料理)になる。
暮れの60人前のビーフシチュウを作る時に、5日のディナーは決まっていたので、タンシチュー用のソースは、この時に確保して置いたもの。

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肉を除いたビーフシチューの、野菜もまるごとフードプロセッサーで微塵にして、これをタンシチューのソースに仕立てる。
牛スネ肉からの出汁も重なっていて、とても濃厚なソースになる。
それでもトマトソースが主体のソースなので、いわゆるデミグラスのバターの濃厚なソースに比較すれば、さっぱりした飽きのこないソースになっている。

輪切りにしたタンに、小麦粉をまぶし、ガーリックオイルのフライパンで表面に焦げ目をつけ、これをソースと共に、保温鍋で二日間煮込む。
随分以前に、結婚式の引き出物のカタログにあったものを手に入れてから重宝している鍋で、煮込み料理に便利で、焦げ付きとか煮詰まりの心配がなく、手をかけずに長時間じっくり煮込むことが出来る。
圧力鍋で煮るのとはまた違った、ソフトに煮込めるような気がするし、微妙な煮込み具合を調節できるので気に入っている。
60人前のような大量のシチューの煮込みには無理だけれど、数人分の少量の家庭料理には向いている。

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このシチューのコントルノ(野菜の付け合わせ)は、マッシュポテト。
茹でて砕いたジャガイモを漉し、牛乳、生クリーム、マスカルポーネを合せ、シナモンの香料を使って作ったもの。
二人ともタンシチューは初体験で、暮れに食べたビーフシチューが大衆食堂の料理なら、これは完璧な高級レストランのシチューだと思ったようで、舌の上でトロけるタンの食感を、二人とも堪能してくれたので、料理人としても、こんな「美味しい顔」を見られるのは嬉しいものだ。
こでもバケットのガーリック・トーストは欠かせないので追加のトーストを籠に載せた。

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セコンド・ピアットが今回は二種類で、次はペッシェ(魚料理)として、スペインのパエリャの登場。N君はもう以前に体験済だけれど久しぶりたし、Nちゃんは初体験。
作る手順を珍しい様子で熱心に見ていた。
やがて出きあがったパエリャ、若い二人は凄い食欲で、半分ほど黙黙と平らげたのには驚いた。

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たっぷり四~五人前の量なので、残った分は持ち帰りで、これを翌日食べるのも美味しいと話して、タッパーに入れてお土産にした。

この持ち帰りのパエリャには面白いエピソードがある。
もう7年も前の頃、一宮の友人夫妻が私の所でディナーを楽しんだ。
最後のメニューのパエリャがもう食べきれず、タッパーに入れて持ち帰って貰った。
家に帰ると、この家の娘さんが、「ああっ!パエリャじゃない! 明日勤めから帰ったら食べるので、取って置いてね」と奥さんに告げて翌日仕事に出かけた。
夕方に嬉々として帰って来て冷蔵庫を見ると、なんとパエリャの陰も形もない。
なんのことはない、母と娘のこの約束を知らないダンナは、お昼にこのパエリャを、「次の日はこれが美味いのだ」とソックリと食べてしまったのだった。
これを知った娘さんのガッカリ具合と怒りと恨みの猛烈さにタジタジとなった旦那さん、どうすれば許して貰えるかと娘さんに聞けば、「あのパエリャを食べに連れて行ってくれれば許す。」の一言だったそうな。
翌日、私に電話がかかって来て、この顛末を語って、今度は家族四人でなんとかもう一度お邪魔したいのだけれど・・・と必死の様子に笑ってしまった。
翌月娘さんの希望が叶って、この娘さんはしっかりパエリャにありついたというお話でした。

さて、今日のディナーの残りのメニューはドルチェ(デザート)のみ、サービスをする前に、瓶詰めの薄茶色のペースト状のものが入れてある瓶の蓋を開けて嗅いで貰って「これなーに?」と聞いてみた。
「何か覚えのある匂いなのだけれど・・・・」と分からない様子。
お茶を沸かしたり、サービスの準備の間、二人でこれがとても気になっていたようだ。
そしてサービスしたのがこれ。

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二人美味しい、美味しいと食べながら、これが何かを懸命に考えて、「梅?」「杏?」、
「メロン?」と聞くけれど、私の答えは「ブー!」
ようやく、分かったのかN君が「柿!」と言ったので私は「ピンポン、ピンポーン!」。
正解は「柿のセミフレッド」でした。

今年の柿のシーズンに、私の留守中に、箱にどっさりの、岐阜名産の富有柿を玄関口に置いて行ってくれた友人がいた。
相当の量で食べきれず、半分位はやがて熟してしまった。
捨てるのも申し訳けないと、何か手はないかと考えて、柿のジャムでも作ってみようと思って、柿の上部の皮を剥き、スプーンで熟した柿の実をすくい出して、フードプロセッサーで微塵にして、味噌濾しで濾してから砂糖を入れて煮詰めてジャム?ペースト?にした。
これが意外に美味しいので、これを得意のセミフレッド仕上げてみた。
以前に栗のセミフレッドを作ったので、栗が柿に変わっただけで、ほとんど同手順で簡単に作れた。

栗のセミフレッドはこちらで


普段食べ慣れていた柿がこんなデザートに変身したのにビックリした二人の様子が面白かった。
これに添えてサービスしたのは台湾のお茶、「東方美人」
台湾に旅行に行くという友人に、ずうずうしくも「東方美人」を買って来てとお土産を指図してしまったもの。
昔、帝国ホテルにあった中華料理「北京」で珍しい香りの美味しいお茶に出会った。
聞くとこれは台湾産の「東方美人」というお茶と分かった。
以来このお茶の名前は私の頭にしっかりと留まって、手に入れる機会を待っていたのだった。
薄い赤みのさした色は紅茶のようだけれど、紅茶とはまた違った品のある味と香りのお茶で、こんな甘みを抑えたデザートにはよく合うと、二人にも好まれたようだった。

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こうして、およそ三時間半に及ぶ、ゆったりとしディナーを二人で心の底から楽しんで貰えたので、ホストの私としてもこれ以上の満足はない一夜となった。
アツアツの雰囲気そのままの記念写真、末永く、仲良く暮らして欲しいと願います。

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