BOGGYのイタリア料理と山と野草

イタリアファンのBOGGYが作って食べるイタメシのプログです。 登山、ピクニックのアウトドア・イタリアンはいかがでしょう。 革工芸も始めました。

初めての革工芸 (Ⅸ)3wayバッグ

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 「初めての革工芸 (Ⅷ)トートバッグ」で、水戸に住む妹のトートバッグを作った時、次の展開がもう見えていて、東京に暮らす妹の娘、つまり私の姪のバッグを作ることになるだろうと想像していた。
まさにその通りになって、姪からの注文は、ホーボーバッグだった。
ホーボーって何だ?



 最初の疑問がこれで、ネットで色々調べてみると、
【ファッション・ブログ】 というブログがあって、このブログの趣旨は「ファッションに関するニュース&いまさら聞けないファッション用語」で、ここに「ホーボーバッグ」の解説があった。
引用させて貰うと、"ホーボーバッグとは、肩にかけるように長いストラップの三日月形の形をしたショルダー型のハンドバッグのことをいう。サイズはまちまちだが、ボヘミアン・スタイルなどの時に、セレブたちが好んで使っている。"
ということで納得した。
そのホーボーバッグも今は少し形のバリエーションが増えてきているようだ。
後日、岐阜のただ1軒のデパートTで、バッグ売り場の係の女性に、「ホーボーバッグ」有りますか?と聞いて見るとキョトンとして答えに窮していた。

姪がメールに添付してくれた、こんなデザインのバッグがいいというバッグの写真は、グッチのホーボーバッグだった。
この所、バッグのデザインについては、ネットのバッグの画像を相当見ていたつもりだったが、このバッグのシンプルなデザインながら、ユニークで気品に溢れ、革そのものの良さを引き出した、イタリアの革製品の真髄を見せられたようだった。
値段もさすがで6桁。ついこのバッグに見惚れてしまった。

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私もかつてはデザイナーと呼ばれた職業だったので、グッチのデザインと全く同じ物を作るつもりは無い(とても技術と材料の両面で逆立ちをしても作れない)ので、自分の出来る範囲でデザインと加工の工夫を凝らすつもりだ。
なんと言っても私は革工芸では半年足らずの初心者で、革工芸の教室に通ったこともなく、図書館の革工芸の本と、自分で買った数冊の本での独学。
やること全てが初体験のことばかりで、その度に本のページをめくり、あれこれ考えた。
今回は前回のように、四角なプロポーションのバッグではなく、曲線による本体の造形が要求される。
衣類の裁縫のように、平らな平面の材料(生地)から曲線の立体を作るには、裁断の知識が必要になる。
またまた未経験の分野に直面することになって、バッグ作りの予備的な作業をすることにした。
まずバッグの基本のシェイプ、プロポーションを見るために、ゴミ袋を利用して、2分の1の縮尺で、裁断の図面(型紙)を書き、この縫い代に従って、接着して立体を作った。

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絵で描くのと違い、裁断の結果を見ることが出来て、これで立体的な感じがよく分かる。

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これを姪にメールで送って、こんな感じに作りたいと、感想を聞くと、気に入ってくれたようだ。
月末に妹が出来立てのトートバッグを手に東京の娘を訪ねた。
姪は妹のトートバッグを隅から隅まで見て、最終的に大きさを決めた。
妹のトートバッグよりも一回り小さめで、軽く、基本的には長いベルトでショルダーバッグとして使いたいということになった。
斜め掛けで使うので・・右の肩にベルトを掛けてバッグは左の腰になるという。
バッグの裏と表がこれで決まる。
こんな感じのという見本のグッチのバッグは、ゴージャスな編みこみベルトが付いていた。
今回は私も対抗上、編み込みのベルトで行くことにしたかったが、編み込みのベルトなど作ったことがない。
革には平編みと、丸編みがあって、今回は長いショルダーベルトで、姪の希望は肩が痛くならない巾の広いベルトがご所望なので、当然平編みベルトになる。
革工芸の本にも、幾つかの編み方が載っていた。
出来るだけ広幅にしたかったので、6本の革による平編みを選んで、端切れで30ミリ巾の革を5ミリ巾で6分割し、試し編みをしてみた。

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仕上がりはソフトで手や肩に1優しい手触りで、感覚的には合格だっが、仕上がり巾は20ミリで、つまり後10ミリ巾を広くしなければならない。
平網の巾の目減り率を逆算すると、42ミリの巾の革を7ミリで6等分して編むと30ミリになる計算だ。
また編み込むことで、1メートルの長さの革が70センチの編み込みベルトに目減りもするので、編む革紐を途中で繋ぐ処理も必要になる。
こんな問題も起こったけれど、なんとか処理して、30ミリ巾の編み込みベルトの目処が立った。
以前に作った私のショルダーバッグのベルトをこの編み方で作って使ってみると、なかなか具合もいいし、見た目もぐっとゴージャスになった。

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最終的に決めたサイズで、今度は実物のサイズでシェープモデルを作って、形のチェックと編み込みベルトの試作品を付けて姪にこの写真を送った。

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姪はこれを見て出来上がりが待ち遠しい言っていた。

これでようやく製作図面と型紙を書く段階になった。
出来た型紙にそって革を裁断して、まず最初に撥水処理をした。
これで雨が降っても安心して持ち歩くことが出来る。

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今回のバッグバッグでは、この編み込みのベルトをデザイン上のポイントにすることにして、バッグのサイドにも同じ編み込みのベルトを貼り、バッグとベルトの統一感を強調する。
ベルト端のフリンジ(房)も編み込みベルトの延長で作り、手作り感覚を強調した。
グッチではベルトとフリンジは一体ではなく、それぞれ別物で作られている。
まずこれで肝心の編み込みベルトが完成した。

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手持ちに有った21ミリ巾の本金メッキのバックルに合わせ、必要な金具を発注した。
○Dカン21mm(1)、○リング15mm(2)、カシメ(小)1パック
○ファスナー(大)30cm ○ファスナー(小) 25cm
金具の到着で、各バッグの主要部品を作成した。

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グッチのバッグは開口部はマグネットだったが、東京の物騒さと、ショルダーでバッグが背中側に回ることもあって、その用心のため、開口部はファスナーにすることにした。
ここにもちょっとしたアイデアが浮かんで、それを取り入れることにした。
このファスナーが取り付けが終われば、最終的な組み上げの縫込みに入ることが出来る。

袋物の縫い方には基本的に二通りがあって、その一つは「外縫い」で、妹に作ったトートバッグは、両サイドをコの字型に、外に縫い目を出して縫う方法で、これは私のような革工芸の初心者にも楽な縫い方と言える。

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今回のバックは曲線のシェイプを見せたいので、外縫いという訳には行かず、初心者には難しい「内縫い」で、縫い目を内側にして見せない縫い方にしなければならない。
実は私自身のショルダーバッグは、この「内縫い」で作っていた。
この時も、手前のパッチワークのポケットは、外縫いで前面側に縫い付けられていて、本体を内縫いで縫い付ける前に、縫って置かないと、後でこれを取り付けるのは、縫い針を内と外に通すという至難の業になってしまう。
幸いこの時は革は柔らかく、開口部が大きかったので、それほど難しくはなかったのだった。

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 今回のバッグは、事前にファスナーや、インナーポケットの縫い付けが必要で、結果として開口部が狭いこと、本体底部には補強の革を貼るなど、組立縫いの後で裏表をひっくり返すのがとても難しくなりそうだった。
こんなことで、事前に緻密な作業計画を立てて、後では作業が出来なくなるというトラブルを防止する必要があった。

■前工程の作業
○革の撥水処理
○底板の製作
○インナーポケットの製作
○ベルトの製作
○本体サイドへの飾りベルトと前部(バックル金具)の取り付け。
○本体サイドへの飾りベルトと後部(Dカン金具)の取り付け。
○チャーム取り付け部品の製作
○ロングキーホルダー革ヒモの製作
○キーホルダー取り付け部品の製作
○小ファスナー取り付け穴の加工
○大小ファスナーの取り付け

■組立の作業
○インナーポケットの貼り付け
○チャーム金具取り付け穴加工
○キーホルダー金具取り付け穴加工
○前後面の上部ステッチ縫い付け
○両サイドの縫い付けの本組立
○コーナー革の貼り付け
○底板の補強、二重革底、カシメ打ち

こうして作業段階は最終の段階、本組立の縫込みに入った。
まず片方のサイド部品を、縫い代を合わせて縫いこむ。
縫った後に余裕を取っていた縫い代(左)を短くカットする(右)。
これで片側が出来上がった。

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色々な部品が既に縫いつけてある状態で本組立をしている。

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まだ反対側は無いので、裏返すのは楽で、裏返して見る。
縫い目の具合を見てみると、革が少し厚いせいか、折り目が大きく丸くて、微妙な裁断の曲線が出ていない。
柔らかく、薄い革で縫ったショルダーバッグではこんなことは無かったので、予想外のことで問題の発生だ。

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考えて、裏の縫い目の脇の革を薄く加工することにした。
研いだ丸刃の彫刻刀で、縫い目の脇を半分の薄さに削る。
一つ間違えて歯が深く入ったら、革に穴を開けてしまう。
緊張しながら慎重に厚さを均等にしながら、4箇所8本の溝を掘った。
これまでで一番難しい作業になった。

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しかしその結果、完成品ではその効果が出て、微妙な裁断の曲線が表現できるようになった。

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両サイドの縫込みが終わって、心配だった裏から表にひっくり返すことになる。
開口部が狭いので、こんな怖い状態になっている。
革が皺くちゃになったら・・縫い目が裂けたら・・気が気ではなかった。

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なんとかゆっくり無理をしないで表に還ることが出来た。
セミやトンボが脱皮をして美しい姿になるような、そんな感じがしながら、バッグの姿が始めて現れた。
思っていた曲線もちゃんと出ていた。
最後の難関を乗り越えて、一人で"ヤッタ!" と感激していた。

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細かい仕上げの作業の後ベルトを取り付けるといよいよ完成だ。

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完成バッグの仕様
○サイズ
 上部巾  24センチ
 幅最大部 30センチ
 底部巾  28センチ
 マチ最大巾11センチ
 マチ底部巾9センチ
○ベルト 約100センチ
○重量500グラム

バッグの細部のディテールや特徴を紹介します。

○ベルト
このバッグのデザインのポイントになった。
編み込みのベルトの特徴は、長さ調節のための穴を開ける必要がなく、ベルトの何処の位置でも自由に長さが調節できること。

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この特徴を活かすと、3つの使い方が出来る。

1.本来のショルダーとして最大の長さ100センチを使った時。

2.ベルトを40センチほど短く調節して、余った長さの部分をバッグの中に仕舞い込むと、トートバッグのように脇の下にバッグを吊って使う。

3.ベルトを60センチほど短く調節して、余った長さの部分をバッグの中に仕舞い込むと、ハンドバッグのように手に持って使う。

名付けて"3wayバッグ"

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やはり手作りの印象を見せるため、ベルトの後部の末端はDカンに直接縛り付けてある。結び目の先端はフリンジとして割いてある。
最終的に姪が使ってみて、ベルトの長さそのものを調節したくなった場合、簡単に結び目を解いて、調節する事ができる。
使っている状態ではまず結び目が解けてしまうということはない。

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開口部のファスナー

安全面から開口部はファスナーにした。
ファスナーの取り付けは、私のトレードマークのように、ファスナーの取り付け口の革は切り開けたままで、ファスナーが丸々見えないようにしてある。
両端の革は裏側を削り、薄くしてあるので、ファスナーの開閉に支障はなく、物の出し入れの時に、直接ファスナーの金属に触れにくくなっている。
今回は二本の大小のファスナーが取り付けてある。

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開口部がホックやマグネットの場合は、ワンタッチで開けて、インナーポケットのファスナーを開ければ良い。
今回は安全面からファスナーにしたので、インナーポケットの物を出そうとすると、二度ファスナーを開けなければならない。
これは安全とは言え、面倒になるので、開口部に2つの大小のファスナーを取り付け、インナーの物も直接取り出せる工夫にした。
携帯電話とデジカメが両方入れられる容量がある。

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大きい方の本来の開口部、フルオープンになる。
手前には、鍵をバッグに付けたまま、玄関のドアなどが開けられる長い革紐付のキーホルダーとそのポケット付き。
物の出し入れの時に、手の甲などに直接ファスナーの金属が触れにくくなっている。

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チャームの取り付けリングと、ネームプレート

革に焼きコテを当てて、字や模様を描く技法があると知ったので、試しに電気部品用のハンダゴテを熱して字を書いてみたら出来そうだったので、ちょっと遊び心で姪の名を書いてみた。

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上部縁回しのステッチ

これは、前回のトートバッグと同じ、ベージュと茶色の二色のステッチで縫った。

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9月の中旬から、ぼちぼち取り掛かったこのバッグ、ようやくの完成を見ました。
今回も色々な革工芸の難しさを痛感しながら色々の経験を経てまた多くを学びました。
革工芸を始めてまだ4ケ月で、ここまで作れるようになったのが、自分でも信じ難いものがあります。
姪がこのバッグを気に入って使ってくれれば、作者冥利に尽きるというものです。

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コメント


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千春ちゃんおはよう。
ブログにバッグの写真載ってましたね。
写真ではよく分からないので、事物をみてびっくりしたの分かりますね。
きっとみんなにうらやましがられるでしょうね。
それも楽しんで下さいね。

BOGGY | URL | 2012-10-19(Fri)09:41 [編集]


お友達にもすごいと言われました。

おじさんへ。寒くなっていますがお元気ですか?
私のブログを見た友達が、実物を見てびっくりしていて、
同じくらいの大きさのバックが欲しいと言って羨ましいと言っていました。
何と言ってもハンドメイドですからね。
とても重宝しています。

千春 | URL | 2012-10-18(Thu)18:17 [編集]


妹と千春へ
二人のコメントありがとう。
気に入って貰えて、この2つのバッグも幸せでしょうね。
母娘のお揃いの革で、それぞれ違ったデザインのバッグ。
二人が揃って街を歩いたら、きっと周囲から注目されるかもね。
そんなシーンを想像しますね。
大物作りも一休みして、暫くは小物を作って楽しみます。

BOGGY | URL | 2012-10-12(Fri)08:25 [編集]


ひなあられさんおはよう。
嬉しいコメントありがとう。
自分でもかなりの出来と驚いています。
隠された才能が70代で開花?(笑)
バッグが出来てから、2日林道や里山を歩いて、久しぶりに外に出ました。
次は野草のレポ書きますね。

BOGGY | URL | 2012-10-12(Fri)08:18 [編集]


腕 上がっちゃってますね

深夜に失礼します
娘から昨日の朝バックの写メ送られてきました
とっても素敵じゃないですか!バック好きの娘ですから大喜びですよ
バック作成ブログも楽しみにしていました♪
それにしても色々と大変だったのでは・・・本当にお疲れ様でした
親子共々大切に愛着もって使わせて頂きま~す☆

ひなあられ様
いつもお褒め下さりありがとうございます
妹の私からもお礼を申し上げます

お散歩 | URL | 2012-10-11(Thu)00:30 [編集]


ありがとうございます。とても気に入りました!

おじさんへ。こんばんは。千春です。
ホームページも拝見させていただきました。
いろいろな工夫が凝らしてあって、こんなに手の混んだ力作をいただいてさらに愛着が湧きました。
とても軽くて物もたくさん入るので
使い勝手も抜群です。
編み込みのショルダーや色違いのステッチ、内ポケットの色や
キーホルダーなど気に入った所ばかりです。
さらに3weyに出来るのは驚きました。
いろんな所に持っていけそうです。

大切につかわせていただきます。ありがとうございました。









千春 | URL | 2012-10-10(Wed)19:14 [編集]


姪御さんのホーボーバッグ
工程もBOGGYさんならではのアイデアも取り入れて、
またもや素晴らしい出来栄えですね!!

どんどん進化していきますねー
驚きと尊敬で・・すごすぎる!
もうプロですね。
使いやすそうだし・・一生大事に使ってくれますね。

ひなあられ | URL | 2012-10-10(Wed)19:11 [編集]