BOGGYのイタリア料理と山と野草

イタリアファンのBOGGYが作って食べるイタメシのプログです。 登山、ピクニックのアウトドア・イタリアンはいかがでしょう。 革工芸も始めました。

づけ丼

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私が料理の話をすると、またイタリア料理・・と言われそうだか、日本料理だって大好きだし、普段の生活では90%は和食なわけで、日本料理にもやはり拘ることは多い。
最近親しい友人から自然薯を頂いたこともあって、久しぶりに作ったのがこのづけ丼である。

私が岐阜に単身赴任するまでの二十数年間は仕事で毎月岐阜に通っていた。
岐阜と東京の往復に走った距離だけで地球を何周もする程である。
新幹線があるのにどうしてわさわざ車で往復するのかと良く聞かれたが、元来の車好きで、車の運転が全く苦にならないし、逆に月に一度400キロほどのドライブは、大いに気分転換にもなり、楽しみになる程だったのである。

岐阜の仕事が終わると、また帰り道に一つ楽しみがあった、それは途中の焼津インターで降りて魚市場に行く事で、ほとんど帰り道の習慣になっていた。
最初はあれこれ店を変えて良い店を探しながら買っていた。買うものはイタリア料理に使うアサリや蛤、海老が目的だったが、必ずマグロも買って帰った。
品物はそれぞれ違う店で買うので、行けば市場を一回りすることになる。
いつの間にか行き付けの店が決まって他の店には行かなくなると、当然店の人たちと知り合いになる。これがほぼ毎月のことなので覚えられたのではと思う。

何時もマグロを買う店は、大旦那夫婦と若旦那夫婦が切盛りしている店で、この若旦那の若奥さんが飛び切りの美人であったこともあって、正直な話、マグロの品質もだが、この若奥さんに会えるのが楽しみで通っていたのかもしれない。
こうして何年も経つと岐阜を出る時に、この店に電話を入れて、若奥さんに今日の買い物を告げると、アサリや海老やその時の物を買いに行って揃えてくれるようになり、行くと市場を一回りする代わりに、お茶を出されて若奥さんや若旦那、女将さん達とひとしきり話しをして帰りに付く習慣になった。

焼津の市場の紹介番組で、若旦那がテレビに映っていたのを見た話をして、若旦那がテレたり、普段はほとんど無愛想な感じで口を利かない大旦那が、実はダジャレの名人だったと分かったり、私も楽しみにしていたが、いつしか店の人達も私が来るのが楽しみになっていたようだ。
ある日マグロの食べ方の話になり、私はこの店で何時も一番安いマグロを買って帰る理由、それはなぜか、自分で作る「づけ丼」の話をした。

づけは、江戸前のすし屋が始めたもので、鮮度が落ちてまずくなったりしないように、醤油に漬け込むのである。
すし屋ではほんの一時から数時間しか漬けないが、私は、自分で作る濃縮蕎麦たれに一晩漬けるのである。
これでほど良くマグロの水分が抜け、ダシも染みて、水ぽい安いマグロもねっとりとした高級マグロに変身するのである。スーパーで売ってる安売りのマグロのブツ切りだって、こうすると高級マグロに変身する。

焼津の次に御殿場のインターで山芋を買って帰り、この芋をすりおろし、やはり蕎麦たれで合えて山芋汁を作る。
炊き立てのご飯を丼に盛り、づけを上に並べ、この芋汁をかけ、刻んだネギと刻み海苔をかけて「づけ丼」の出来上がりである。これがとても美味いので、一回やったら病みつきになる。
焼津の若奥さんは、常にマグロに囲まれているので、もう家族も全員アキアキしていて、こんな食べ方は知らなかったというので、たまには違ったマグロの食べ方もいいよねと、このづけ丼をこんど家族に食べさせてごらんと言って帰ってきた。

次の月に寄ると、若奥さんはこのづけ丼を作ったら家族から大受けだったと言って喜んでいた。これを聞いた女将さんも作って食べたと、女将さんが笑って言っていた。
こんな知り合いが出来るのも、新幹線で行くよりはずっと楽しいのである。
岐阜に来てからは、この通いもなくなって少し寂しい思いをしてたが、久しぶりに作ったづけ丼で、焼津の人達を思い出した。(終)

●づけ丼のレシピ
 まず、私の作る蕎麦つゆですが、ザル蕎麦が好きなのでザル用に作っているものです。
しかし、これを作っておくと美味しいので、お刺し身や、天ぷら、煮物などにも使ってしまうので、すぐ使い切って、また大量に作って、大きな瓶に入れて冷蔵庫で保存します。
さて、濃縮蕎麦つゆのレシピです。
1.だし用削り節、最低でも200グラム、ふんぱつすればより美味しくなります。
だし用の昆布、はがき大3~4枚枚程度です。

2.最初に大きな鍋に4カップ程度の水を沸かして、煮立ったら、削り節を入れて、一煮立ちさせたら、削り節を濾して取ります。(取り出した削り節は捨てないで、これを甘辛く煮て佃煮にします)
今度はこのつゆに昆布を入れて煮ますが、鍋の蓋を開けたまま、煮ながらだし汁が2/3程度まで煮詰まるようにします。つまり濃厚な2カップ位のだし汁が出来るわけです。

3.これに、本みりん(甘いみりん風のものはダメです)2カップ、醤油2カップを足してこれも一煮込みします。つまりみりん、醤油、だしつゆの量は、1対1対1ということですね。
これで出来上がりです。冷まして適当な瓶に入れて保存して適宜使います。
お刺し身にはそのまま、蕎麦つゆ、煮物などには好き々、適当に薄めて使っています。

4.づけ用には、マグロを一口大に切って、タッパーなどに入れて、このダシ汁をヒタヒタにして、一晩冷蔵庫で漬け込みます。晩ご飯用なら朝から漬けても間に合います。
づけにした後の漬け汁は捨ててください。

4.山芋汁はもうみなさんお手の物でしょうから特別書きませんが、づけにはもう味が付いているので、芋汁は薄味にしてください。
生のワサビがあれば、芋汁に適宜おろして入れるとワサビの香りがとてもづけ丼を引き立ててくれます。市販のチューブ入りのおろし生わさびは香りが少ないので、あまり引き立ちませんが、なければこれでもがまんしましょう。(笑)
芋汁には、卵の黄身だけを入れるのもお好みです。

5.きざみ海苔、刻みネギ、刻みわけぎ、辛い大根の芽、これもお好きなものを散らしてください。

づけどんには、安いマグロで十分です。それでも高級マグロのように美味しく食べられます。
マグロをおろした山芋で和えて、醤油をかけて食べるのは「マグロの山かけ」として昔からあったのではと
思いますが、マグロをづけにして、こうして丼にして食べるのは私のオリジナルかと思っているのですが、私の土地ではこれと同じ食べ方をしてますという方がおられたら教えて欲しいです。いずれにしろづけどんファンが増えてくれるといいですね。

注)これはエッセイ「づけ丼」として2004/02月某ネットに投稿したものです。

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